国産クワガタ幼虫の成長過程

国産クワガタの幼虫は卵から孵化した後、
1齢(初齢)幼虫2齢幼虫3齢(終齢)幼虫前蛹羽化し、クワガタの成虫になります。
クワガタは幼虫の頃の大きさで成虫の大きさが決まります。 成虫になったクワガタはそれ以上大きくなることはないので、いかに幼虫の頃に大きくする事ができるかが勝負になってきます。

幼虫が生まれた時期や飼育温度により、2年1化(2年で羽化)する幼虫達や、標高の高い場所に住むミヤマクワガタの幼虫は2年以上掛かる場合などがありますが、一般的な1年1化型で説明していきます。
1年1化(1年で羽化)する幼虫は孵化から成虫までの期間が合計で約8ヶ月~12ヶ月くらい。
下の図は大体の飼育期間の目安となります。
クワガタ幼虫の頭は脱皮以外ではほとんど成長しない為、何齢幼虫か分からないという方は幼虫の頭の幅を測って見ましょう。幼虫が容器側面にいる時にでも、飼育容器越しに定規を当てる程度で構わないと思います。

国産クワガタ幼虫の成長過程(1年1化型)
国産クワガタ幼虫の成長過程(1年1化型)

赤いグラフは頭幅の大きさ。脱皮する毎に大きくなります。
青いグラフは体重。3齢幼虫の成長期になると一気に成長します。
低温で飼育すると成長速度は遅く、高温で飼育すると成長速度は速くなります。
常温飼育や低温での飼育、幼虫が生まれた時期によって成長速度が遅くなり、
2年1化(2年で羽化)する幼虫が出てきます。
温室飼育の場合は1年1化で羽化させる事ができ、幼虫の飼育期間を短縮する事も可能です。
あくまで目安ですので適当に描いてみました。

卵~1齢(初齢)幼虫

卵が産み落とされてから孵化するまでの期間は、約2週間~3週間
その後、1齢(初齢)幼虫となり、約2週間~3週間エサを食べて成長していきます。
幼虫の頭幅は約2mm前後と小さく、酸素不足や菌糸に巻かれて死んでしまう可能性も高いです。

ノコギリクワガタの卵
ノコギリクワガタの卵
2~3週間で孵化し1齢(初齢)に
2~3週間で孵化し1齢(初齢)幼虫に


容器を使用して飼育する場合、プリンカップや、小さなビンで成長確認をしながら飼育していきましょう。
菌糸ビン飼育をする場合は2齢幼虫以降で移す方が、ある程度安心できます。

2齢幼虫

1齢(初齢)幼虫で2週間~3週間育ったクワガタ幼虫は、脱皮をして2齢幼虫に成長します。
幼虫の頭幅は約5mm前後と一回り大きくなります。
この頃になると、♀は卵巣が見え始めるので雌雄判別ができるようになってきます。

オオクワガタ2齢幼虫
オオクワガタ2齢幼虫
メスのオオクワガタ2齢幼虫
メスのオオクワ幼虫。卵巣が確認できる


2齢幼虫の期間は約3週間~4週間
食欲も増してくるので、大きな容器へ移し替えても良いでしょう。

3齢(終齢)幼虫

2齢幼虫で3週間~4週間育ったクワガタ幼虫は、脱皮をして3齢(終齢)幼虫に成長します。
頭幅もさらに一回り大きくなり約9mm~10mm前後
この頃になると国産クワガタの種類や、オス・メスの違いにより頭幅の大きさに違いが出てきます。
オオクワガタ♂の幼虫の頭幅で大きいものが12mm前後、コクワガタの場合は少し小さく8mm前後くらいでしょうか。オスの幼虫より、メスの幼虫の頭幅は小さくなる傾向にあります。

3齢幼虫になると、メスは卵巣がハッキリ分かる事が多いので雌雄判別が楽になり、ほぼ確実に見分けられるようになります
オス・メスの違いにより、エサの食べる量も違うので、この頃には雌雄判別をして使用する容器の大きさを決めて投入できるようにしましょう。
メスは800ml容器~1100ml容器で。オスは大きさによって1100ml以上を使用するといいでしょう。
(大型のオオクワガタの場合1400ml以上、コクワガタや小型のクワガタ♂であれば1100ml以内で十分)

オスの幼虫
オスのコクワ幼虫。卵巣が見られません
メスの幼虫
メスのコクワ幼虫。卵巣が見えます


幼虫期間の中で一番長い期間を過ごします。
3齢(終齢)幼虫になって数ヶ月は成長期で、食欲旺盛。エサを食べまくります
見た目も急に大きくなる感じがするので、驚く事でしょう。
この期間に十分にエサを食べさせて幼虫をなるべく大きくしましょう
産卵セットを組むで「早い方は5月~6月ごろに卵を産ませる」と記述しましたが、この3齢(終齢)幼虫の成長期に季節(気温が高くなる7月~8月ごろ)を合わせる事で幼虫を大きくする狙いがあります。
特に常温飼育で1年1化で成虫にさせる場合、冬眠の事も考えて早めに産ませた方が良いでしょう。
(ただし、2年1化で大型化を狙う場合、ワザと遅めに産ませるという手もアリかもしれません。)

オオクワガタ3齢(終齢)幼虫
オオクワガタ3齢(終齢)幼虫
オオクワガタ幼虫
成長期で一気に大きくなります


3齢(終齢)幼虫も終盤になると、体の色が黄色っぽくなり始め、シワが増えていきます。
そうなると体重の増加はあまり望めないので、暴れを防いで体重をキープしましょう。

前蛹(ぜんよう)~蛹(さなぎ)

十分にエサを食べて育った3齢(終齢)幼虫は、冬を越して暖かくなる頃に成虫になる準備を始めます。
まずは糞やマットで周りを固めて蛹になる為の部屋、蛹室(ようしつ)を作ります。
蛹室が出来上がると、幼虫は足やアゴが動かなくなり、体を真っ直ぐに近い体勢にして前蛹(ぜんよう)の状態に入ります。たまにウネウネと体全体を動かし、寝返りを打つようになります。

前蛹から約2週間~3週間経過した後、蛹(さなぎ)へ変化します(蛹化(ようか))。
蛹になってさらに約2週間~3週間経過すると、蛹の色も半透明からクリーム色へ、さらに羽化直前には茶色っぽく変化し、その後、羽化して立派なクワガタの成虫になります。

蛹室を作るコクワガタの幼虫
蛹室を作るコクワガタの幼虫
ノコギリクワガタの前蛹
前蛹の状態。足・アゴは動かなくなる
  
蛹化直後のコクワガタ
蛹化直後のコクワガタ。蛹はまだ半透明
羽化直前のノコギリクワガタの蛹
羽化直前のノコギリクワガタの蛹


この時期のクワガタ幼虫は非常に無防備なため、強い振動を与えないように注意しましょう。
特に蛹になった直後で蛹が半透明の時は絶対安静です。
蛹が傷ついてしまうと高確率で死亡するので十分に注意してください。
国産クワガタ幼虫羽化時の注意にも記載しているので、参考にできる部分があればどうぞ。

蛹室の大きさが足りない時や、容器の底面に接した場所に蛹室を作ってしまった場合は人工蛹室へ移し変えた方が羽化不全を防げる事が多いです。
見極めが中々難しいですが、不安な場合は思い切って人工蛹室へ移してみても良いでしょう。
人工蛹室を使用する際も十分な注意が必要です。移すタイミングとしては前蛹の状態の時、もしくは羽化直前で、ある程度蛹が茶色っぽくなってから慎重に移すようにしましょう。

羽化

いよいよ幼虫の飼育もクライマックス。蛹になって約2週間~3週間経過すると、蛹の色が茶色っぽく変化し、羽化が始まります。クワガタの羽化中は絶対に動かさない事!
約1年間の集大成。クワガタの成虫が誕生します。無事に羽化することを願いましょう。
人工蛹室で羽化させる場合は、貴重な羽化シーンをじっくりと観察することも可能です。
成熟期間も含め、羽化後の成虫は体を固めて成熟するのに時間が掛かります。
割り出しを行う際は最低でも1ヶ月くらいは触らずに蛹室の中でそっとしておいてあげましょう。

コクワガタの羽化
コクワガタ♂の羽化。体はまだ赤い
人工蛹室のノコギリクワガタが羽化
人工蛹室で羽化するノコギリクワガタ


このとき、羽化不全で最悪の場合死亡してしまうケースもあります。
自然界でも羽化不全の死亡はあるので、重度の羽化不全の時は諦めるしかない場合が多いです。
軽度の羽化不全(羽が少し開いているなど)は問題なく飼育することもできます。

長い時間をかけて成虫になったクワガタ達は大切に最後まで飼育してあげてくださいね。

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