菌糸ビン飼育とは?

菌糸ビン飼育のメリット・デメリットを読んだら、もう少し詳しく菌糸ビン飼育について説明します。
短期間でクワガタの幼虫を大きくできるといわれる菌糸ビン飼育
オオクワガタブームの頃に菌糸ビン飼育は登場し、クワガタ飼育をしている人達に衝撃を与えたと言っても過言ではないでしょう。
「菌糸ビン」とは、もともとクワガタ幼虫の為に開発されたものではなく、食用のキノコを養殖するために作られたものです。 菌糸ビン飼育が登場してから、各メーカーが研究し、それぞれのブランドとしてクワガタ幼虫用に販売されるようになりました。

主にドルクス系のクワガタ(国産で言うとオオクワガタ・コクワガタ・ヒラタクワガタ・アカアシクワガタ)
に向いている飼育方法と言われています。
腐葉土などに適応しているミヤマクワガタにはあまり向かないようです。
(ノコギリクワガタにも使えるとは聞きますが大きくなるかは不明)
飼育方法はマット飼育と似ていますが、キノコの菌糸を利用しエサの栄養を効率よくクワガタ幼虫に吸収させる事で、短期間(ほぼ1年)で比較的大きく育つという最大のメリットがあります。

なぜ菌糸ビン飼育で大きく育つのか?

これがなかなか説明が面倒なので簡単に・・・
クワガタの幼虫飼育で使用される材の成分の中に「セルロース」や「リグニン」などの成分があります。
リグニン」という成分がクセモノで、非常に分解しにくい成分である為、幼虫が体内に取り込んでも効率よく栄養を吸収できません。

そこで登場するのが白色腐朽菌(はくしょくふきゅうきん)と呼ばれるキノコの菌糸。
クワガタ幼虫の飼育には主にヒラタケ・カワラタケ・オオヒラタケが使用されます。
これらのキノコの菌糸の働きにより、材の中の「リグニン」を分解し、分解されたエサを食べる事により幼虫が効率よく栄養を摂取できるという仕組みになっています。

菌糸が回る→幼虫が食べる→糞・食べカス→また菌糸が・・・とサイクルしていく
菌糸ビン飼育のサイクル
食痕に伸びるオオヒラタケ菌糸
食痕に伸びるオオヒラタケ菌糸


また、消化できずに出された糞や食べカスにも菌糸が回り、
それを幼虫が食べる→糞や食べカスが出る→菌糸が回る→幼虫が食べる→また糞を(略)
というサイクルが出来上がり、さらに効率よく栄養を吸収できるという素晴らしい飼育方法です。
もちろん、菌糸の劣化やエサとなる材が劣化すると、このサイクルが崩れてしまうので、エサ交換が必要となってきます。

菌糸ビン飼育に使用される菌糸の種類と特徴

クワガタ幼虫の菌糸ビン飼育に良く登場するオオヒラタケ・ヒラタケ・カワラタケ。
それぞれの菌糸には特徴があり、材を分解する力や雑菌に対する強さ、適正温度などに違いがあります。各菌糸の特徴を理解し、どの菌糸で幼虫を飼育するか決めていきましょう。
管理温度が適正温度より低いと、菌糸が活性化しキノコが発生
管理温度が適正温度より高いと、菌糸の劣化・雑菌の増殖
といった不都合な事がでてきますので、温度管理はしっかりしていきましょう。
また、急激な温度変化や、振動などでもキノコが発生する事があるようなので注意が必要です。

菌糸ビン飼育に使用されるキノコの適正温度目安
菌糸ビン飼育に使用されるキノコの適正温度目安

オオヒラタケ

菌糸の再生力:★★★ 雑菌に対する抵抗:★★★★ 材を分解する力:★★★

実際に「オオヒラタケ」という名前のキノコでは無く、ウスヒラタケ・ヒマラヤヒラタケなどの総称として使われているとか・・・ヒラタケの親戚みたいなものと考えていいでしょう。
菌糸の再生力もなかなかで、雑菌にも強い。
比較的高温にも耐えれるため、取り扱いやすい種類です。
材を分解する力は普通なので比較的エサが長持ちします。
温室が不十分・もしくは温室が用意できない人でも頑張れば常温飼育で飼育可能かもしれません。
(夏場は保冷材などで温度を下げ、冬場は比較的暖かい所で管理)
目安としてオオヒラタケの適応温度は18℃~30℃以内

ヒラタケ

菌糸の再生力:★★★★? 雑菌に対する抵抗:★★★★? 材を分解する力:★★★?

特徴については使用後に追記予定。
オオヒラタケに比べ、適応温度上限が25度前後と低く、夏場温度を下げる事ができない環境だと、管理するのは難しい種類と言ってもいいでしょう。
菌糸の再生力は強いとも言われたりしますが、実際に使ってみないと何とも言えないですね・・・
目安としてヒラタケの適応温度は18℃~25℃前後

カワラタケ

菌糸の再生力:★★★★? 雑菌に対する抵抗:★~★★? 材を分解する力:★★★★★?

特徴については使用後に追記予定。
材を分解する力は強いですが、雑菌が繁殖しやすく、適応温度上限も25℃前後と低い為、取り扱いが難しい種類とされています。
分解する力が強いのでエサが長持ちしないと言われる事もありますが、各メーカーの改良で比較的良くなっている様子。カワラタケの菌を植え付けた産卵木(植菌材)はオオクワガタの産卵用に使われると聞きますが、菌糸ビンとしては外国産クワガタ(タランドゥスやオウゴンオニ)用としているメーカーが多い印象を受けます。金額も少し割高でしょうか。
目安としてカワラタケの適応温度は15℃~25℃前後

以上が大体の特徴となります。
初心者にオススメなのは、やはりオオヒラタケでしょうか。
適正温度も幅が広く、温度管理が難しい菌糸ビン飼育では比較的簡単な菌種と言えるでしょう。
価格も各メーカーにより結構差があるので、なかなか選びにくい所です。
どの菌糸ビンでも比較的大きくなるようなので、菌糸ビン飼育が初めて方は、安めの菌糸ビンで試してみるのもアリでしょう。
適温については各メーカーの菌糸ビンにより若干の違いがあるので、不安な人は購入したメーカーに問い合わせてみましょう。
私はオオヒラタケしか使用した事がない為、ヒラタケ・カワラタケについては、使用後に書き直す可能性大ですので、参考程度にとどめてください。
続いては、菌糸ビンを用意・作製していきましょう。

菌糸ビン飼育の概要 >> 菌糸ビン飼育とは? >> 菌糸ビンの作製 >> 幼虫投入・エサ交換

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