菌糸ビンに幼虫を投入する

菌糸ビンを用意・作製できたら、幼虫を投入していきましょう。
卵の状態で菌糸ビンに投入するのは止めた方がいいでしょう。卵のまま菌糸に巻かれてしまい、孵化しない可能性が高いです。
卵の状態で割り出したときは、幼虫の割り出しに記載した方法で発酵マットに穴を開け、その中に卵を入れて孵化を待ちましょう。

初齢幼虫でも菌糸に巻かれて死亡してしまうケースがあるので、幼虫を投入するときは初齢幼虫から1~2週間発酵マットで育てた後、もしくは2齢幼虫に成長した後に投入する方が死亡率は下がる印象を受けます。

私が初齢幼虫で菌糸ビンに投入する場合は、初めに小さな容器に菌糸ブロックを培養させて投入し、様子を見ています。(2齢幼虫に成長したら大きめの菌糸ビンに移行)
万が一死亡してしまった場合でも、菌糸ビンのコスト的な被害は100円未満で済みます。
800mlボトルの菌糸ビンで安いメーカーで単価200円前後、しかも死亡しているかは次のエサ交換まで分からない・・・となると時間も場所もコスト的にも無駄になってしまいます
市販されている菌糸ビンにもプリンカップサイズが販売されているので、初齢幼虫を投入する場合は2齢幼虫までは小さな容器で様子を見た方がいいかもしれませんね。

といっても菌糸ビン飼育は2012年からなのであまり大きな事は言えませんが、生まれたオオクワガタ幼虫31匹中21匹を現在菌糸ビンで飼育し、そのうち初齢と2齢の1匹ずつ死亡しています。
産卵木から割り出した時にも7匹の幼虫が菌などに巻かれて死亡していたため、初齢幼虫初期に菌糸ビンに投入するのは避けた方が無難だと思われます。

菌糸ビンのフタを開け、表面に白い菌糸の膜が張っている場合は取り除きましょう
その後、幼虫が入る程度の穴を開けます。あまり小さな穴だと、幼虫が潜る際に糞を沢山出してしまいます。糞をした分、体重は減ってしまうので、幼虫がスッポリ入る程度の穴を開けましょう。
穴を開けた後、その中にエサ交換前の幼虫の糞や、食べカスを入れてあげましょう
菌糸ビンのマット中央に空気穴が開いていると思いますが、初齢・2齢で投入する場合、穴が大きすぎる事があるので、空気穴の隣に幼虫のサイズに合うような穴を開けて投入してあげましょう
3齢幼虫の場合はマット中央に開いている空気穴を広げ、スッポリ入るようにして投入しましょう。
空気穴が開いていない菌糸ビンの場合は新たに穴を開けて投入してあげましょう

表面の白い部分を削ります
表面の白い部分を削ります。
初齢幼虫・2齢幼虫の場合は空気穴の横に小さな穴を開けて投入
初齢・2齢は空気穴の横に穴を開けて
3齢幼虫はの空気穴を広げて投入します
3齢幼虫は空気穴を広げて投入
幼虫投入時の穴の開け方
幼虫が余裕を持って入れる程度の穴を


個人的には、図のように中央付近で少し穴を広げてツボのような形にして投入しています。 また、以前食べていたエサの食べカスや幼虫のフンを潜った後にも乗せ、暴れ防止を図っています
その後、穴開けの際に出たマット(オガ)で穴を埋めましょう。
幼虫を投入し終わったら、何月何日に投入したかをラベルに書いて容器に貼っておきましょう

基本的に菌糸ビン飼育の際は1つの菌糸ビンに1匹の幼虫を入れましょう。 自然界では1つの朽木に複数幼虫がいるのは当たり前だとは思いますが、市販されている菌糸ビンでは広さが足りないと思われます。 菌糸ビンが手元に無く、仕方なく多頭飼いする場合は2齢幼虫までに留めた方がいいでしょう。

菌糸ビンのエサ交換

菌糸が回っている白い部分が残り少なくなり、茶色の部分が3分の2程度になったら菌糸ビンの交換を行います。また、マット飼育のエサ交換同様にラベルを見て期間を決めて割り出す事も多いです。
交換時期の目安として、

プリンカップや小さな容器の場合は1ヶ月前後。(初齢幼虫・2齢幼虫用)
800ml容器・1100ml容器3ヶ月~4ヶ月程度。 (2齢幼虫以降・メスの幼虫や小型クワガタ用)
1400ml以上の容器3ヶ月~5ヶ月程度。(3齢幼虫のオオクワガタのオスや大型クワガタ用)

といった感じでしょうか。
夏場より冬場の方が菌糸の劣化は抑えられる為、ある程度長持ちします。
夏場など高温になる場合は、菌糸の劣化が早くなり黄色く変色してきます。
また雑菌(カビなど)が増殖したり、劣化が酷すぎる場合も交換を考えましょう。

オオクワガタの場合どの菌糸ビンを使用しても70mm前後くらいには成長する可能性があるようなので、オスの幼虫は3齢幼虫以降は大きな容器を使用した方がいいかもしれません。
私はダイソーで売られていた200円商品の1.5L容器と1.9L容器をオス用として使用しています。
(ある程度小型(70mm未満)だと思われるオオクワガタ♂は1100ml容器を使用)
あまり小さな容器を使用すると羽化不全の可能性も出てくるでしょう。

交換時期なのに幼虫の食痕(食べた痕)が見られない事があります。
そういう場合は、死亡しているか、居食いしているのどちらかです。
居食いとは、中央付近で部屋を作り、周りのエサを食べる行為。居食いの方がエネルギーを消費しない為、大型個体を期待できると言われる)

私の場合は大体が死亡しています。と言っても、居食いの可能性もあるので望みを捨てずに期間を目安にして慎重に掘り出していきましょう。
ただし、温室の温度を上げて蛹にさせる場合や、気温が暖かくなってきた頃に食痕が見られない・幼虫の姿が見られない場合は、中央付近で蛹室を作り、蛹になっている可能性もあるため、交換は控えた方がいいでしょう。(よほど菌糸の状態が悪い場合は交換しましょう)

菌糸ビンの交換も、マット飼育の交換と同じく食痕を目安にして掘る事が多いですが、できれば幼虫の位置が確認できる時(容器側面にいる時)に交換した方が事故死を防げます。
食痕が下部に集中していた為、下にいると思い込んで掘り出そうとした際に、すぐ上まで食べ進んでいた事があり、冷や汗をかいた事があります。
食痕だけで位置を予測するのはほどほどにしましょう。
マット飼育とは違い菌糸が回っている為、オガが硬く固まっている事が多く、勢い余って幼虫を傷つける可能性もありますので、慣れないうちは慎重に掘り出しましょう。
掘り出す際はスプーンなどを使い慎重に掘り出します。

交換する菌糸ビン
だいぶ食べています。菌糸も劣化
オオクワガタの幼虫発見
オオクワガタの幼虫発見
上の方まで食べ進んでいました
すぐ上まで食べ進んでいる幼虫も
食痕が見られなかった菌糸ビン
食痕が見られなかった菌糸ビンは…


幼虫を取り出したら、投入準備のできた菌糸ビンに移し替えましょう。
エサ交換が終わったら、何月何日に交換したかをラベルに書いて容器に貼っておきましょう
幼虫が成虫になるまで2回~3回の交換が主流となっています。
2本返し・3本返しと言われたりする)
私の場合は小型容器でまず飼育するので、それを含めた交換回数の目安を記述しておきます。

2本返し
(小型容器)→800ml(1100ml)800ml(1100ml)(メス幼虫や小型クワガタ)
(小型容器)→800ml(1100ml)1400ml以上(大型クワガタ)
(小型容器)→1400ml以上→1400ml以上(大型クワガタ)

3本返し
(小型容器)→800ml(1100ml)800ml(1100ml)800ml(1100ml)(メス幼虫や小型クワガタ)
(小型容器)→800ml(1100ml)1400ml以上→1400ml以上(大型クワガタ)
(小型容器)→1400ml以上→1400ml以上→1400ml以上(大型クワガタ)

などなど、色々なパターンがあります。
幼虫の食欲や成長具合、菌糸の減り方や劣化具合などを見て何本使用するか決めましょう。
菌糸ビン飼育の場合は、温室飼育が主流ですので、それぞれの菌糸の種類の適応温度をある程度把握し、しっかりと温度管理をしましょう。

菌糸ビン飼育の概要 >> 菌糸ビン飼育とは? >> 菌糸ビンの作製 >> 幼虫投入・エサ交換

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ドルクスオーナーズショップのミニサイズ菌糸ビン。個人的には菌糸ブロックを自分の用意したミニ容器に培養させています。
柄の長いスプーンもあります。100円ショップで販売されているスプーンでも十分代用可能。
菌糸ビンに突き刺すだけで簡単に穴が掘れる商品。菌糸ビン飼育やマット飼育の割り出し時にも。ネーミングセンスは置いておいて、気になる商品ではあります。
空のプリンカップも販売されていますが送料の方が高くつきます。100円ショップやホームセンターで適当な容器を購入しましょう。

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