国産クワガタ幼虫の温室飼育

温室飼育とは、温室内で温度管理をして、ある程度一定の温度でクワガタ幼虫を飼育する方法です。特に温度管理が必要となる菌糸ビン飼育では良く温室飼育が登場します。

温室飼育をする場合は、温度を一定に保つ為の温室が必要となります。
温室は自作される事が多いので、温室飼育を考えられている方は温室を用意しておきましょう。温室飼育に使用する温室を用意・作製するで温室の作製例を紹介しています。

オオヒラタケ菌を使用する場合は、常温飼育でもなんとか飼育する事は可能ですが、できるだけ温度管理はした方が良いでしょう。 マット飼育でも温室飼育は可能です。
材飼育は自然に近い飼育方法ですので温室飼育はあまり聞いた事がありません・・・

暑い日は冷房機器や冷却剤で温室内を冷やして一定の温度まで下げ、寒い日は暖房機器などで温室内を一定の温度まで上げて温度管理をします。 季節の温度変化に合わせる事で、比較的温度管理しやすくなります。
自然とは違う飼育方法のため、幼虫がセミ化してしまう事があるなど不都合な部分もあります。

温室飼育の温度管理

常温飼育では、冬場のクワガタ幼虫は一定の温度以下(クワガタの種類にもよるが約15℃以下
になると活動が鈍くなり始め冬眠状態へ移行します。
さらに温度が下がると体内の糞を排出して活動を停止します
その為、幼虫の体重が減ってしまいクワガタ成虫の大きさにも影響が出てしまう事があります。
(自然界では冬眠することは普通ですので全く問題ありません。)

国産クワガタ幼虫の常温飼育
国産クワガタ幼虫の常温飼育例

一方、温室飼育では特に冬場の温度管理をして、幼虫を冬眠させずにエサを食べさせる事で、体重をある程度キープし大型化を狙います。 さらに温室飼育の場合は、短期間(1年1化)で羽化させる事ができる為、クワガタ幼虫の飼育期間を短縮することも可能です。
(ミヤマクワガタなどの低温種の場合は、低温で2~3年飼育した方が大型になるという話も。)

国産クワガタ幼虫の温室飼育
国産クワガタ幼虫の温室飼育例

また温室飼育菌糸ビン飼育をする場合に利用される事が多く、使用する各菌種の適正温度により管理温度を調節する必要があります。

菌糸ビン飼育に使用されるキノコの適正温度目安
菌糸ビン飼育に使用されるキノコの適正温度目安

使用する菌糸ビンのメーカーにより適正温度が若干異なるため、不安な方はメーカーのサイトを見て頂くか、問い合わせしてみましょう。

温室飼育での夏場の温度管理

菌糸ビン飼育の場合、オオヒラタケ菌は上限が30℃以内(できれば28℃以内)、
ヒラタケ・カワラタケ菌は上限が25℃前後であるため、夏場は温室内がそれ以上の温度にならないように冷却機器や保冷材などで温度調節する必要があります。
オオヒラタケ菌の場合は30℃でも耐えれますが、多少の劣化は覚悟しましょう。
マット飼育の場合も、高温すぎると発酵マットが再発酵してしまいガスが発生する恐れがある為、ある程度温度は抑えた方がいいでしょう。
クワガタ幼虫が地表に出ていたり、暴れが発生していないかしっかり観察しておきましょう。
クワガタ幼虫の暴れを防止する」も参考程度にどうぞ。

温室上段に保冷材を入れて冷やす
温室上段に保冷材を入れて冷やす
オオヒラタケは30℃以内、ヒラタケ・カワラタケは25℃以内に
菌種によって上限が違うので注意


冷却機器には結構なお値段がかかります。(ワインセラーなど、電気代も・・・)
暑い季節は4ヶ月程度(5月半ば頃~9月末頃まで)ですので、お金を掛けたくない人は保冷材などで必死に温度管理しましょう。
自作温室の場合は、朝と夜に温室内上部に凍らせたペットボトルなどを置くと、ある程度温度を下げる事ができます。
冷やされた空気は下へと溜まるので、温室内上部に保冷材などを置くようにしましょう。
頻繁に温室のドアを開閉すると冷やされた空気が外に逃げてしまい、温度が上がってしまう為、温室の開閉は最小限に留めましょう。
(実際に使用している自作温室では外気温30℃くらいの時に温室内25℃前後まで下げれました)

また、夏場の温度(25℃前後or28℃前後)から冬場の温度(18℃前後)へ移行する場合は、
最低でも1ヶ月ほどかけて徐々に温度を下げるようにしましょう。
菌糸ビン飼育の場合、急激な温度変化でキノコが発生する事もあるので特に注意しましょう。
クワガタ幼虫にとっても、急激な温度変化は結構な負担となるので避けた方がいいでしょう。

私が実際に飼育した温度管理は11月頃まで25℃前後、 11月半ばで23℃~24℃前後、
12月半ばで21℃~23℃前後、1月に入り、さらに下げて18℃前後といった感じです。

温室飼育での冬場の温度管理

菌糸ビン飼育の場合、オオヒラタケ・ヒラタケ菌の下限が18℃前後カワラタケ菌の下限が
15℃前後
となります。冬場は温室内が適温以下にならないように、暖房機器(マルチパネルヒーターなど)で温度調節をする必要があります。

低温すぎる場合でもキノコが発生してしまったり、クワガタ幼虫が冬眠状態に入ってしまい体重が減ってしまう事があります。
クワガタ幼虫の冬眠状態に入る温度が約15℃以下となる為、冬眠する温度よりも若干高い温度で管理して幼虫を冬眠させずに冬を感じさせ、少しでもエサを食べさせて体重をキープしましょう

ただし、冬場の管理温度が高すぎると、クワガタ幼虫が季節の変化を感じる事ができずに幼虫のまま死亡してしまう事がある(セミ化)ので十分に注意しましょう。
(17℃~19℃程度で管理するのが無難か)

暖房器具は飼育容器に直接触れないよう底上げする
直接容器に触れないよう底上げ
セミ化防止の為ある程度低めの気温が無難
セミ化防止の為18℃前後が無難か


暖房機器に関しては冷却機器よりも安く購入できます。(マルチパネルヒーターや、ピタリ適温など)
使用する期間も長い(10月頃~4月末頃まで)ので準備しておきましょう。
より正確に温度管理をしたい場合は、暖房機器にサーモスタットを付けて一定温度以上になると暖房機器の電源が切れるようにすると良いでしょう。
私の場合は、ある程度ツマミで温度調整が出来るマルチパネルヒーターをそのまま使用しています。

暖められた空気は上へと溜まるので、温室下部に暖房機器を置くようにしましょう。
パネルヒーターなどを使用する場合、暖房機器に直接容器が接してしまうと、容器の底の温度が必要以上に上がってしまう事があるので注意しましょう。
直接飼育容器に触れないようにスノコや金網などを置いて底上げして調節します

また、温室上部と下部で温度差が生じる事があります。
特に自作温室の場合は外気温にも影響されやすい為、あまりにも上部と下部で温度差がある場合は温室内部でファンなどを回し、空気を循環させて一定の温度を保つよう工夫される方もおられます。
上部と下部の2ヶ所に温度計を設置し、どのくらいの温度差があるか確認しましょう。
私の場合は冬場の底冷えもあり、上部と下部で3~4℃の温度差が発生しています。

私が実際に飼育した温度管理は、1月いっぱいは18℃前後で温度管理。
2月いっぱいまで18℃前後で管理する予定でしたが、2月初めに部屋の中の暖房が影響して温室内上部が23℃前後まで一気に上がってしまった事もあり、幼虫の暴れが発生しています。

春先にかけての温度管理~クワガタ幼虫の蛹化を促す~

春先にかけて温室内の管理温度を、18℃前後から25℃前後or28℃前後へと少しずつ上げ、幼虫に春が来た事を感じさせてあげましょう
温度を上げる際も、1ヶ月~2ヶ月ほどかけ、徐々に温度を上げていきましょう

特に温度を上げるときは、急激に温度を上げるとクワガタ幼虫が暴れてしまう可能性が高いです。実際に私の飼育では室内の外気温の影響で急に温度が上がってしまった事もあり、約半分の幼虫達が暴れていますクワガタ幼虫が暴れると体重は減ってしまいます
暴れが発生しないようにゆっくりと温度を上げましょう。

気温の変化を感じた幼虫達は、蛹室(蛹になる為の部屋)を作り始め蛹になる準備に入ります
蛹化スイッチが入ると表現される事も多いです)
徐々に温度を上げ始めたら、クワガタ幼虫の様子も良く観察しておきましょう。
蛹室を作り始めたら、25℃前後or28℃前後の温度で羽化するまで温度管理をしましょう。

糞やマットで周りを固め始めたら蛹化する合図
蛹室を作り始めたら蛹化する合図
セミ化防止の為ある程度低めの気温が無難
側面・底面に蛹室を作る事が多い


私が実際に飼育した温度管理は2月末で温室下段で19℃前後、温室上段で23℃前後で管理。
(外気温の影響もあり、温室上段のクワガタ幼虫達は、ほとんど蛹室を作り始めていました。)
3月半ばで24℃~25℃前後に徐々に上げて温度管理。
大体のクワガタ幼虫達が蛹化の準備に入り、5月半ばまでにほとんどのクワガタ達が羽化しています。

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