クワガタ幼虫羽化時の注意
クワガタの幼虫飼育も終盤。冬を越して暖かくなる春先にかけてクワガタ幼虫は蛹(さなぎ)になる
個体が多く、その後羽化してクワガタの成虫となります。蛹の状態は一番デリケートな期間です。
。
。
また蛹室に異常がある場合も羽化に失敗(羽化不全)してしまい、最悪の場合死亡してしまうケースもあります。
そういう場合は飼育容器の向きを変えたり、露天掘りや、人工蛹室を使用し無事に羽化できるよう手伝ってあげましょう。
クワガタの蛹はすごくデリケート!絶対安静が鉄則!!
皆さんは蛹の中身はどうなっているかご存知でしょうか。
魚の白身みたいなのが詰まってる?カチカチの何かが詰まってる?
いえいえ、簡単に言うと初期の頃の蛹の中身はドロドロとした液状と言ってもいいでしょう。
時間が経過するにつれてクワガタ成虫の器官が再形成されると言われています。
蛹化直後で半透明の蛹は、時間が経過するとクリーム色に、目が形成され黒くなり始め、羽化直前になると体や足が茶色く色付いてくるので分かり易いのではないでしょうか。
蛹の期間は大体2週間~3週間ほど。
管理温度や個体の大きさによって蛹の期間が長くなる事もあります。
クワガタの蛹の初期は、風船にドロドロした液体が入っていると例えると分かり易いでしょうか。
その風船に穴が開くとどうなるでしょう?高い所から落とすとどうなりますか?
想像されると大体お分かりだと思います。
蛹が傷つくと、そこから体液が流れ出してしまい、 といってもいいでしょう。
「蛹が傷ついても無事に羽化した!」という人は運が良かっただけです。
特に しましょう。
後に記述する「容器の向きを変える」「露天掘り」「人工蛹室」は、 です。
最低でも目が形成されて黒くなり始める時期に。できれば外骨格が形成されて、ある程度色付き始めたら慎重に実行しましょう。
前蛹の頃(蛹になる前。体を真っ直ぐに近い体勢にして、幼虫のアゴや足が動かなくなる状態)に実行する事も可能ですが、個人的には蛹の頃に実行する事が多いです。
また、クワガタの蛹は振動などに敏感に反応し、暴れるように寝返りを打ちます。
もあると考えます。
人工蛹室などの対策をする場合は、その後 しましょう。
蛹から無事にクワガタを羽化させるには
クワガタの幼虫は、蛹になる前に糞やマットで周りを固め蛹室(ようしつ・蛹になる為の部屋)
を作ります。また 。
幼虫自身が作った蛹室で羽化させるのが一番良いとされる事が多いですが、容器を使用して幼虫を飼育する場合、十分な広さの蛹室を作れない事があります。
蛹室が狭すぎたり容器の底に面した場所(ビン底)に作ってしまった場合、羽化に失敗(羽化不全)してしまう可能性も出てきます。
「蛹化に失敗した」という個体はあまり経験がありません。
多少狭くても無事に蛹になる事は多い印象を受けます。
蛹にはなれても、無事に羽化してくれないと困ります。
容器側面で
・蛹室内に異常はないか
・蛹室の広さや蛹室の作られた場所は十分か
・寝返りが正常にできているか
を見極めて無事にクワガタの成虫を羽化させましょう。
また
そういう場合は、
・同じような環境で育った他の幼虫達が全員羽化した後、慎重に掘り出して確認する
・夏の終わり~秋頃に慎重に掘り出して確認する
このどちらかがまだ安全だと個人的には思います。幼虫エサ交換時の注意にも記載したように、暖かくなってくる春先に掘り出すと色々面倒な事があります。
エサの劣化などで「どうしても蛹室や蛹の状況が心配」という場合は蛹になる頃を予測して掘り出し、
確認しましょう。
こういう場合も、目視確認できる他の幼虫や蛹がいると、蛹になる頃が大体予測できます。
蛹室に異常はない?蛹室の場所や広さは十分?寝返りは正常にできている?
先ほども書きましたが、蛹室の広さが不十分でも、正常な蛹になる事は多い印象を受けます。
しかし、無事羽化するとなると話は変わってきます。
クワガタの蛹は、成虫が首を曲げた状態の形状をしており、無事に羽化するには、最終的に頭とアゴを前に出す必要があります。特にオスのクワガタの場合は、蛹室が狭すぎると頭を上げる事ができずに羽化不全を起こす可能性もあります。
菌糸ビン飼育の場合、蛹室内部にキノコが生えてしまうという事もあり羽化の妨げになります。
また羽化する時には、ほとんどの蛹が寝返りを打てないような蛹室の広さだと、仰向けのまま羽化が始まってしまい、上手く羽を広げられずに重度の羽化不全を起こす可能性が高いです。
ので、良く観察しておきましょう。
特にクワガタのオスの蛹は立派なアゴがある為、寝返りが下手な個体もいます。
メスのクワガタよりも羽化不全を起こしやすいと言えるのでしっかり見極めましょう。
人工蛹室で羽化したオオクワガタの動画を以前撮影したので、蛹の動きを確認しておきましょう。
コクワガタや、オオクワガタ、ヒラタクワガタなどの場合は、
仰向け→うつ伏せ→羽化→頭を上げると同時にアゴを前に出す。
という具合に、頭を上げると同時にアゴも前に出します。
その為、オスのクワガタは蛹室の高さが足りない場合も上手く頭とアゴを前に出すことができずに羽化不全になる可能性が出てきます。
一方ノコギリクワガタ♂(大歯型)などは、
仰向け→うつ伏せ→羽化→頭を上げる→アゴを伸ばす。
という順序です。(動画は国産クワガタ飼育日記2012/6/24参照)
飼育容器の底面(ビン底)に蛹室を作ってしまった場合も、水分過多や羽化の際に蛹が出す水分がビン底に溜まってしまい羽化不全を起こしたり、ツルツルの容器のせいで、お尻を動かしても壁に引っかからない為、上手く寝返りが打てず羽化に失敗してしまう。という事もあります。
軽度の羽化不全では、
「羽が開いたままになってしまう」
(羽パカ・羽バカと呼ばれています。個人的には羽がパカッと開いてしまう。という意味で羽パカと呼んでいます。羽がバカ(馬鹿)になってしまう。という意味で羽バカという人も多いです。)
「アゴがずれている」「体や羽にシワ・凹みが見られる(ディンプル)」などの症状が挙げられます。
重度の羽化不全の場合は、
「羽化の際に蛹の皮を上手く脱げずに死亡してしまう」
「羽が全く閉じれずグチャグチャになってしまう(重度の羽パカ)」
「頭・アゴを前に出す事ができずにそのまま固まってしまう」などの症状が挙げられます。
右の画像のオオクワガタ♀は、仰向けの状態で羽化不全を起こしていたため救助して羽パカに。
残念ながら出血が多かった為、その後死亡しています。(国産クワガタ飼育日記2013/4/23参照)
このような羽化不全を防ぐ為に、飼育容器の向きを変えたり、露天掘りや人工蛹室といった方法で羽化の手助けをしてあげましょう。
蛹室の広さも十分!ビン底にも蛹室を作っていないし異常もない!寝返りも正常に打てている!
という場合は、飼育容器の向きを変えたり、露天掘りや人工蛹室に移す必要はありません。
クワガタが羽化するまで振動を与えず、安静にして無事羽化する事を祈りましょう。
また、重度の羽化不全の場合は、死亡してしまったり寿命が短くなる事がありますが、
軽度の羽化不全は問題なく飼育できる個体がほとんどです。
飼育容器の向きを変える
この方法はクワガタ幼虫が蛹室を容器の底面(ビン底)に接した場所に作ってしまった場合に有効な方法です。容器の向きを横向きにしたり、容器を裏返す事で、容器の底に水が溜まらないようにしたり、上手く寝返りが打てるようにします。
容器側面に蛹室を作った場合でも、ツルツルの容器の為に上手く寝返りが打てない事もあるので、状況を見て向きを変えても良いでしょう。
個人的にはビン底+容器の側面(飼育容器のカド)に作ってしまった場合は人工蛹室に移す事が多いです。メスの場合は比較的羽化に成功する印象があるので状況を見て考えます。
できれば幼虫がビン底に蛹室を作りそうな気配がしたら向きを変えて、十分な広さの蛹室を作れるよう誘導してあげましょう。すでに蛹となっている場合は、ゆっくりと容器の向きを変えて蛹が寝返りを打てるか確認してみましょう。
露天掘り
露天掘りは、蛹室内の水分が多すぎる場合(水分過多)・蛹室の高さが足りない場合などに有効な方法です。菌糸ビン飼育の際に蛹室内でキノコが生えてしまった場合も、露天掘りにしてキノコを取り除く事もできます。また蛹の状態を直接確認したい場合にも使用される事があります。
温度変化が激しい場所に保管すると、蛹室内で結露(水滴)が発生し水分過多に陥ることがあります。
さらにビン底付近の場合は、羽化の際に排出される水分や、温度差で生じた水滴などがマットに吸収されにくいため底に溜まってしまい、羽化不全を起こす可能性もあります。
菌糸ビン飼育の場合も、菌糸が水と二酸化炭素を排出するため蛹室内の水分が多くなってしまう事があるので注意しましょう。
蛹室の天井を取り除き、露天掘りにすることで蒸発した水分を上に逃がし、水が溜まる状況を改善する場合に使用されます。
また、蛹室の高さが足りない時も天井を取り除く事で高さを確保できます。
クワガタのオスが羽化する際、頭・アゴを上げる時に天井に引っかかり羽化不全を起こす可能性がある場合も有効と言えるでしょう。
露天掘りの注意事項として、マットの塊が蛹室内に入ってしまったり、蛹の足の間に入り込んでしまう事があります。できればピンセットなどで全て取り除きましょう。
ただし、蛹の足の間に入ったマットは無理に取ろうとすると傷つけてしまう恐れがあるので、無理には取らなようにしましょう。蛹が寝返りを打った際に自然に取れるのを待つか、息を少し吹きかけ飛ばせるようなら吹き飛ばしましょう。
こういう面倒なことは避けたいので、個人的にはここまでいくと人工蛹室に移してしまう事が多いです。
人工蛹室
人工蛹室は、蛹室の広さが足りない・蛹室内の状態が良くない(雑菌の増殖・キノコの発生)
・水分過多・寝返りが上手く打てていないなど様々な場合に有効な方法です。
個人的には容器の向きを変えたり、露天掘りを使用するより、手っ取り早く人工蛹室に移した方が良いんじゃないかとも思ったりします。
ヒラタクワガタを5世代ほど累代飼育していた時も、ノコギリクワガタ・オオクワガタの羽化の際も人工蛹室に移した事がありますが、今のところ人工蛹室を使って羽化不全を起こした経験はありません。
湿らせたティッシュや新聞紙を重ねて固めたり、スポンジなどで人工の蛹室を製作し、その中に蛹を移して羽化させます。
蛹の大きさに合わせて、人工蛹室を作製します。
初めて人工蛹室を作る場合は、なかなか上手く作れないかも知れませんが、無事羽化させるには非常に有効な方法なので、数をこなして上手く作れるようにしましょう。
作るのが面倒な方は、人工蛹室の商品も販売されていますので、そちらを購入してもいいでしょう。
と言っても難しく考える必要はありません。
慣れれば10分も掛からずに作製できます。結構適当に作っても、無事羽化してくれています。
タイミングがよければ貴重な羽化のシーンも間近で観察できるので、一度はジックリと観察してみるのも良いものです。
・スポンジの人工蛹室作製は国産クワガタ飼育日記2013/3/12
・トイレットペーパーの芯+ティッシュでの人工蛹室作製は国産クワガタ飼育日記2012/6/10
・スタイロ&トイレットペーパーでの人工蛹室作製は国産クワガタ飼育日記2014/2/27参照。
個人的にはスタイロ&トイレットペーパーの人工蛹室が気に入っています。
スポンジの人工蛹室はスポンジの素材によってはお尻が引っ掛かりすぎて上手く寝返りが打てない場合があるので寝返り具合を良く確認しておきましょう。
以下、私が人工蛹室を作る時に気をつけている事を記述しておきます。
・人工蛹室の形は、楕円形・もしくは縦長の卵型。
・ 。(頭の部分が上に来るように)
・適当な容器の中に作り、
・蛹の寝返り具合の確認( )
・湿らせたティッシュや新聞紙を固めて作製する場合、 作る。
人工蛹室の素材は、ある程度水分を吸収できるようなものを使用しましょう。スタイロフォームなど水分を吸収できない素材を使う場合、湿らせたティッシュや新聞紙で蛹室内を囲んで湿度を保ちます。
容器にもフタをして空気穴を開け、湿度管理をしましょう。
過度の加湿もNGですが、過度の乾燥もNGなので適度な湿度を保ちましょう。
また、「どうしてもうつ伏せで羽化させたい・寝返りが下手で不安」という場合は、
羽化直前にうつ伏せへ誘導させるという方法もあります。
。
です。
そうなると1日~2日で羽化が始まります。その時に慎重にうつ伏せへ誘導させるという方法です。
羽化の際、脚もある程度動かせるようになるので、蛹が横向きに自力で寝返りが打てるならば、特に気にする必要は無いとは思います。
クワガタが無事羽化したら?
クワガタが蛹から無事羽化する事ができたらひとまずは安心です。
ただし、 。
また成熟期間もあるため、羽化後すぐにエサを食べる事はありません。
しばらくは触らず蛹室の中で安静にしてあげましょう。
個人的には します。
活動し始めるまで取り出さずに、蛹室・人工蛹室の中で放置でも構いません。
早めに成虫を取り出す場合は飼育ケースにマットを入れ、潜らせてあげましょう。
成虫が活発に活動しはじめたら、エサを入れて様子を見ると良いでしょう。
成熟する前に触りすぎると、体力を消耗してしまい寿命が短くなってしまう可能性もありますので注意しましょう。
幼虫保管時の注意|幼虫の暴れを防止する|幼虫エサ交換時の注意|幼虫羽化時の注意
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